老院川柳ミニ法話


   ミニ法話-川柳シリーズ第3回-   

        「妻の口 マナーモードに 切り替えたい」

「獄」という漢字があります。部首は「けものへん」ですが犬部に属する漢字です。会意文字で「犬+言+犬」となり、二匹の犬が争うようにいがみ合って言い争う姿を示しています。仏教的に云うと「言葉の通じない世界」を「獄」、すなわち「地獄」としています。
 妻だけではありませんが、私の口も相手の話を聞こうともせず、自分からの一方通行でしゃべり、だんだんエスカレートしてくると、自分で何を言っているのかわからないほど声を荒げて、まるで犬が大きな声で吠えているような状況になり、お互いに相手に威圧感を与えてしまった経験があります。
 真宗では「聞」ということを大事にします。教えを聞くということはもちろんですが、先ず私たちの生活の中で、自分の都合や思いを相手に押し付けるのではなく、相手の話を聞く耳を育てていくことが大切ではないでしょうか。
 「地獄」の一つに「無間地獄」があります。「無視」(会話がなくなる)の状況が説かれています。自粛生活が続いてきましたが、このような時ならばこそ家族で過ごす時間を大切にして、お互いが相手の話に耳を傾けて会話のある生活を進めてみたいものです。